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人事・労務 Human Resources / Labor

企業の立場から見た労働問題です。
未払い残業代の支払い、労働時間などの労働条件の変更や、従業員の配置転換、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントへの対処などとともに、問題社員への対処、就業規則の改定などの、人事をはじめとする労働問題です。

人事・労務についてよくあるご質問

労働についてのよくある質問はこちらをご覧ください。

従業員が仕事を自宅に持ち帰って残業をしていますが、自宅で行った仕事について割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間をいいます。自宅で残業する場合であっても、使用者やこれに代わって指揮命令を行う上司が残業を指示した場合は労働時間となる可能性があります。
これに対して労働者が自分の意思で自宅に持ち帰ったときは労働時間にならないと考えられます。後者の場合、自宅で残業を行う時間が労働時間にならないので割増賃金を払う必要はありません。
判断が微妙であり詳しくは弁護士にご相談ください。
協調性を欠いて管理職として不適任な従業員を会社から排除するために、就業規則に基づいて関連会社に出向させようと考えていますが問題がありますか。
就業規則等に使用者が出向を命じることができるとの明確な規定があり、出向先の労働条件等について労働者の利益に配慮した具体的な規定を定めていれば、出向を命じることはできます。
但し、出向命令が権利濫用の場合は違法とされており、業務上の必要性があるか、対象者の選定が公平か、動機目的が不当ではないか等から判断されます。
本件では、業務の必要性があるか、対象者の選定が公平か、動機目的が正当か等で疑問があり権利濫用になる可能性があります。命令を発する前に弁護士に相談される方がよいと思います。
同期に比べて昇進が遅いのは差別的であると主張する従業員がいます。評価の前提となった事実に誤りがあるそうです。どう対処すべきでしょうか。
労働者の昇進は使用者の裁量的な判断が認められているので昇進について同期と差が出たと言うだけでは差別とはいえません。
しかし、男女雇用機会均等法違反や組合員であることによる差別のような不当労働行為等の場合は違法となり得ます。
また、人事考課が公正でない場合は、人事権の濫用となることがあります。例えば、人事考課制度を整備しないで恣意的に評価していたり、不当な動機によって低い評価をした場合や、本件の従業員の主張のように評価の前提となる事実について誤りがあった場合です。労働法に詳しい弁護士にご相談されるのが良いと思います。
従業員が会社の金銭を横領しました。どのような措置を取るべきですか。従業員の解雇は容易にできないと聞いたことがありますが。
確かに通常の場合、従業員の解雇は容易にはできません。しかし、従業員が金銭を横領した場合は、金額が多いか少ないかに限らず、懲戒解雇を有効とした判例が多数下されています。
また、民事上は従業員に対して着服した金銭について不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求ができます。
更に、刑事上は、従業員の行為は業務上横領罪に該当する可能性があるので、警察に対して被害届を出したり告訴状を出して刑事告訴することが考えられます。
どのような手段でどの程度まで責任をとらせるのか、再発防止のためにどんなシステムを作るべきか、弁護士に相談されるのが よいと思います。
社員が長時間労働によって鬱病になり、無断欠勤や早退を繰り返しています。解雇できますか。
問題の行動の原因が鬱病である場合は、欠勤または休職などによる治療の機会を与えるべきです。これに対して治療を拒否したり休職期間中に治療しないなど、回復の可能性がない場合は解雇の検討が可能です。
但し、業務に起因する鬱病は、業務災害になるので、治療のために休業する期間及びその後の30日は原則として解雇できません。類似の裁判例もありますので弁護士への相談をお考えください。